唐変木のためのガイダンス

バツイチ・卵巣がん闘病中・統合失調症・ADHD診断済・交際相手有の50代前半女性の日記。

2日遅れの七夕と劣等感と焼きもち(完結編)

中編はこちら

 

ai-sakurai-tokorozawa.hatenablog.com
私が徳さんのことを好きになった理由
 徳さんは一通り私の話を聴いた後に、
「僕は絶対にイケメンじゃないし、モテる容姿じゃない。あいりはどうして僕のことを好きになってつき合ってくれるようになったの?」
と質問。
 私は、
「中学高校の時に勉強はできないし変わった子だと思われていて、教職員から問題児扱いされていた。実際不登校だったし。両親が呼び出されて退学を促されたこともある。だけど、数学のT先生(私が中学に入学した時にすでに結婚されていて娘さんがいた。今年で63歳。)は高校卒業まで私のことを気にかけてくださった。好きな本や映画や音楽や漫画やアニメの趣味も似ていて、学校生活以外の話もできた。徳さんはT先生に顔と雰囲気が似ている。だから好みのタイプ。」
と答えた。

徳さんが私のことを好きになった理由
 たばこを吸っていた徳さんが急にむせはじめた。そして笑いながら、
 「確かに時々TwitterにT先生の思い出をツイートしてたよな。その時挙げてたT先生に似ているミュージシャン(徳さんのあだ名の由来のミュージシャンとは別の人物。)の顔が僕と似た傾向だったし、あいりは以前からそのミュージシャンを好みのタイプとして公言していたからもしかしたらと思っていたけど、やはりそういうことだったのか!」
と上機嫌でまくしたてた。

 少し落ち着いた徳さんが、
 「僕があいりのことを好きになった理由も似たようなものだ。僕が子どもの頃、親父の仕事の都合でジャカルタに居たことを話してるよね。」
と口を開いた。
 徳さんは大手メーカーで研究開発職をされていたお父様のお仕事の関係で、5歳から8歳までインドネシアジャカルタで暮らしていた。
 ご両親の方針で小学校入学前まで現地の幼稚園に通った。ご両親がクリスチャンだということもあり(徳さんもご姉弟もクリスチャン。)、カトリック系で日本語や日本文化を理解できる職員がいて治安がいい場所にある幼稚園を人脈を駆使して探したとお母様からうかがっている。
 「そこにお父さんが国際基督教大学に留学中に日本人と結婚して生まれたハーフのメリ先生という人がいて、初恋の人だった。あいりに似ていて、初めて会った時におどろいた。あいりがインドネシアとのクオーターだと知って納得した。おふくろもあいりと初めて会った時に、メリ先生に似てると言ってた。」
 私は徳さんに父が国際基督教大学および大学院出身だと話したっけ?メリ先生のことといいすごいご縁だね。徳さんと私は出会うべくして出会ってつき合うべくしてつき合ってるんじゃと言ったら、徳さんがあいりのお父さんICU国際基督教大学)だったんだソフィア(上智大学)だと思ってた。それにしてもすごいな。僕は運命論者ではないけど、運命を信じると言いはじめた。
 「初恋のメリ先生の刷り込みで、目鼻立ちがはっきりした東南アジア系の顔立ちで色白でぽっちゃりしてて背が低くて胸が大きくて、ハキハキした女性が恋愛対象になるようになった。友人知人と話していて思うんだけど、その手のタイプの女性は日本人男性から受けが良くないみたいだね。だけど僕はあいりと初めて会って話をした時に、あいりが結婚していることを残念に思ったよ。」
と言ってくれた。
 「僕やあいりの話からわかると思うけど、人間の好みのタイプにはある程度人生経験から来る刷り込みが働くと考えてる。人生なんて千差万別なんだから、容姿の好みだっていろいろだ。クイズ番組でいろんな国の人達に日本の有名人の写真を見せて理想の人を指差させたら、日本人の基準では信じられない回答が出てくることがあるだろ。文化差もあるし、そういうことだ。」
と続けた。納得。
 余談だが徳さんが好きな顔立ちの女性芸能人は、声優で歌手の中島愛さんと女優の土屋太鳳さん。そして、フジテレビの杉原千尋アナウンサー。
 ご存知の方も多いと思うが、中島さんのお母様はフィリピン出身。
 土屋さんと杉原さんに関しては私はわからない。

 そして私が一番気にしていた、元奥さんが私にはない属性の「愛らしい容姿の上危なっかしい感じで守ってあげなきゃという気持ちにさせるタイプ」だということに関しては、
 「大学院生の時につき合っていた後輩の日台ハーフの女性が、すごく気性が激しくてトラウマになって恋愛恐怖症になった。今度つき合う・結婚する人はおとなしい女性がいいと思ってた。でも、実際に結婚してみて自分の好みのタイプと正反対の女性と結婚すると、自分の精神を平穏に保って長く一緒に暮らすことが難しいと実感した。後、愛らしい容姿というのは日本人基準の愛らしい容姿だった。ぱっちりした目で顔のバーツが中央に集まった幼い感じの顔で。正直言うと僕は好みではなかった。摂食障害なのもあったけど鶏ガラみたいな体型で長身だったし。いい勉強になった。そういうわけであいりさん、これからもよろしくお願いします。」
と急にかしこまって言われた。
 元奥さんの容姿に対する云々はちょっと失礼じゃない、徳さんと思ったが、年上の男性にこのようなことを言うのは申し訳ないが、徳さんがとてもかわいく思えて仕方がなかった。
 私も正座をして徳さんに、「こちらこそこれからもよろしくお願いします。」とあいさつ。

2日、いや3日遅れの七夕
 そして、徳さんに今度はいつ泊まりに来る?親父もおふくろも会いたがってるんでと聞かれた。15日の水曜日に心臓と血管の検査と血液検査を受ける。その結果を20日の月曜日に聞きに行くのでそれから決めると徳さんに答えた。
 楽しみにしてる。そういえば今日は2日遅れ、いやもう日付が変わってるから3日遅れの七夕か。あいりに会えてうれしいと徳さんは言ってくれた。
 そして、徳さんはコンビニで買ったハイボールで私は檸檬堂定番レモンで乾杯。
 2時半頃に就寝。今は徳さんは自分の寝室のベッドで私は客間に布団を敷いて寝ているが、徳さんも客間で私と一緒に寝ることを考えると言い出した。何度も書いているが徳さんは身長190cm以上ある大男。快適に寝られる布団を探す事からはじめなきゃと言っていたので、同じ寝室で寝るのはいつになることか。
 翌10日は徳さんは午後から大学に行けばいい状況だったので、お互い10時過ぎに起きて朝昼兼用の食事のピザを取って食べた。最寄り駅まで一緒に行って、逆方面の電車に乗る徳さんにまたねと言ってバイバイ。

 徳さんと会ってから状況が変わり、11日の土曜日の深夜から体調を崩した。13日の月曜日に皮膚科と耳鼻咽喉科を受診したところ、いずれも持病の帯状疱疹扁桃腺炎(発熱なし)の診断。帯状疱疹扁桃腺炎が落ち着いたら改めて日を決める。徳さんの家に泊まる日を連絡するのが延び延びになってごめんなさいと昨日徳さんにメールを入れたら、徳さんから体調を案じる電話があった。扁桃腺炎の影響で声が出ないので徳さんに余計に心配をかけてしまった。元気になったら徳さんが言うところの通い婚をするからと、徳さんと約束した。

 さあ、一生懸命治すぞ。
(了)