唐変木のためのガイダンス

バツイチ・卵巣がん闘病中・統合失調症・ADHD診断済・交際相手有の50代前半女性の日記。

徳さんが家に来た(6/29)~相互理解~

 表題の通り、6/29に徳さんがまた家に来てくれた。

 徳さんの仕事(大学で人文科学系の分野で教鞭を執っている。)にもコロナウイルスの影響は出ている。

 勤務する都内の大学は、オンライン講義が続いている。
 副業(?)の文化センターの講師は再開のメドが立たず、4月から一度も開講されていない。

 そのため、徳さんの時間に比較的余裕があり1ヵ月に2回も家に来てもらえた。
 今回の来訪は、両親も私も徳さんも昨年末に離婚した私の再婚禁止期間がまだ6ヵ月のままだと勘違いしていたドタバタに起因するものだが。
 都内で弁護士をしている中高の同級生の親友とのやり取りで、2016年の民法改正で再婚禁止期間が100日に改正されたことを知った。

 

ai-sakurai-tokorozawa.hatenablog.com

  6/1の来訪時と同様に徳さんは勤務先の大学でのオンライン講義と事務作業を終えてから、家に来てくれた。
 母の計らいで徳さんを自宅最寄り駅まで迎えに行き、二人っきりになることができた。

 家に着いた後お茶を飲みながら、再婚禁止期間の改正をアップデートできていなかったことに両親と私と徳さんは苦笑い。
 徳さんが本当は今日この場であいりさんと結婚を前提におつき合いさせていただきたいのですがと言いたかったのですが、あいりさんがご自身の身体のことと前回の結婚の時の出来事から恐怖心が強いようでそうは言えません。あいりさんを大切にしておつき合いをさせていただきます。今の時点ではそうとしか言えません。できればわたくしの夏休みの間だけでも、あいりさんと一緒に暮らさせていただけませんか。わたくしはできればあいりさんと一緒になりたいです。お父様とお母様とあいりさんに許していただければと言ってくれた。

 父は徳さんに、君はあいりが今まで連れてきた男の中で一番いい男だ。外見は置いておいてと言った。
 ただし、あいりは元気そうに見えるが、あまりいい状態じゃない。心も身体も。君たちはもう大人だから二人が決めることだが、それだけは言っておく。君が先ほど言った、君の夏休みの間だけでも一緒に暮らすことも今のあいりの状態では難しい。特に今のコロナウイルスが蔓延している状態では。でも、事態は好転するかもしれないし、医学が進歩するかもしれない。それから将来の事を考えてくれたらいい。あいりを大切にしてくれたら親としては今はそれだけでありがたいと続けた。
 
 そして、私が昨年の初夏に自殺を図った(未遂)話に。私が母に送ったメールで両親が危険を察知し私が当時元夫と住んでいた一橋学園駅近くのマンションに乗り込んだものの、公休日の元夫がオートロック解除の呼び鈴にも電話にも出なかったため警察署経由で管理会社に事情を話して警察官と管理会社の人同伴でマンションに。やっと部屋に入ることができたものの元夫は泥酔していてハイテンションな状態で、引き戸一枚隔てた場所にある寝室で私が自殺を図ったことに全く気がついていなかったことや会話が成立しなかったこと等を話してくれて、まだまだ男性不信が根強いからあまり焦らせると君の大切なものが逃げていくよと釘を刺してくれた。
 私の自殺未遂の話をはじめて聞いた徳さんは、驚きの色を隠せない動揺した表情。

 続いて父は、徳さんから離婚の原因を聞き出そうとした。
 君の変人ぶりに元奥さんがついて行けなくなって精神に変調をきたしたことが離婚の原因だとあいりから聞いたが、それは本当なのか?あいりは昔から面白おかしく話を盛る癖があるので、確認だ。僕は精神医学の世界で50年以上ご飯を食べている。もし、DVを推測させることがあったら、親としてあいりを引き離す。覚悟してくれよ。と言った。
 徳さんは緊張しつつ言葉を選びながら、前の結婚と離婚のいきさつを話しはじめた。
 
 40歳が近づいて研究者生活も安定してきて、両親と親族からそろそろ身を固めたらどうかと言われました。開業医をしている叔父の大学の同級生の姪御さん(以下、元妻)とお見合いをすることになりまして。元妻は中学から高校まで都内のお嬢様学校に通って、美術大学の大学院を卒業した後は外で働くことなく実家で絵を描いたり手芸をしたり工芸品を作る生活で、社会との接点が少ないまま三十代を迎えた女性でした。 
 僕の周りの女性はあいりさんを含めて僕が10何か言うと30以上言い返してきたり行動力がある女性ばかりで、しとやかな元妻が新鮮な存在に思えたのと外堀を埋められたような状態でお見合いをさせられたこともあり、そのままとんとん拍子に結婚しました。
 しかし、時間が経つに連れて元妻にしとやかでは片づけられない違和感を覚えて、僕自身も精神のバランスを崩しかけました。
 
 セールスや勧誘を断れない。何か意見を求めたら泣き出す。絵を描いたり何かを作ることに没頭すると、夫婦で食卓を囲むことも入浴や洗面等の基本的な生活習慣も放棄する。彼女は自分が絵を描いたり物を作ること以外にはほとんど興味がないようでした。家事ができないので日常的に母親や祖母や親戚の女性や実家のお手伝いさんが家を出入りしていました。そのことは結婚時に相手方から言われていたのですが、僕にすれば度を越していました。その人達が彼女の身の回りの世話もしていました。僕が一緒に住んでいるのは妻ではなく、小さな女の子なんだと思いはじめて何とも表現しがたい感情を抱えるようになりました。家に居ると疲弊するので、サウナやビジネスホテルや友人の家を泊まり歩くようになりました。
 最初はお嬢様で美大出身だったら、浮世離れしていてそんなもんよ。長い目で見てあげなさい。歳の差があるんだからあなたが守ってあげなきゃ育ててあげなきゃと言っていた母も、礼儀や一般常識に欠け冠婚葬祭時に親族とコミニュケーションが取れない元妻に対して不信感を強めていきました。母はあいりさんと似たパーソナリティーで、正義感が強くておせっかいで世話好きな面があり、元妻にあれこれ教えようと世話を焼くようになりました。お姫様扱いされて育った元妻はそれを今でいうパワハラと捉えてしまったようで精神のバランスを崩し、心療内科通いをするようになりました。そして、結婚から半年もたたないうちに実家に戻りました。別居中に元妻が言うところの僕よりも優しくしてくれる男性になびいたことが、僕が離婚の意思を固める決定打になりました。あいりさんの前でこのようなことを言うのは大変申し訳ないのですが、元妻は愛らしい容姿の上危なっかしい感じで守ってあげなきゃという気持ちにさせるタイプでした。僕が女性に免疫がないこともありますが、そのトラップに引っかかったと反省してます。僕の変人ぶりに元妻が精神を病んだのが離婚原因というのは趣味のグループで流れた噂でしたが、離婚のいきさつを細々話す必要はないと考えて否定せずに流していました。実家もあの結婚は悪夢とすら思っていてもう思い出したくないとのことで、趣味のグループで流れた離婚理由を家族間でも使っています。あいりさんが嘘をついているわけではありません。以上です。包み隠さずお話しました。と、徳さんは締めくくった。(注:個人情報保護のため本筋からそれない範囲で改変。元妻の人格権に配慮して一部割愛。)

 両親は徳さんに話し辛いことを聞いてしまってごめんなさい。話してくれてありがとう。とお礼を言った。
 父は徳さんに、君も大変だったな。元奥さんは僕の研究分野の範囲の人間だった可能性が高いな。(父は自閉症発達障害の研究者。)出身校から判断すると元奥さんは知的レベルは普通かそれ以上あったと思うがと話した。

 そして、私に徳さんのお母様に電話をかけさせて母に話すように指示。主人が娘のことを心配してまして、息子さんに前のご結婚のことを根掘り葉掘り聞いてしまって申し訳ありませんでしたと母に言わせた。
 徳さんのお母様は、もう終わったことなので大丈夫ですよ。私も主人も次男(徳さんの弟)もあいりちゃんのことが大好きで、あいりちゃんとウチの息子がもっと早く出会ってお嫁さんになってくれていたらよかったのにと言ってるんですよと言ってくださった。
 
 とてもうれしかった。

 父は僕と妻の育て方が悪かったようであいりがとんでもないじゃじゃ馬に育って、つき合ってる君も大変だろと徳さんに言った。そして、君は言葉の選び方が実に上品だ。さすが一流大学の文学博士だとつけ加えた。
 徳さんは照れていた。

 重い話が終わってから、夕ご飯に。
 最近私は体調がすぐれず寝たり寝たり起きたりの生活が続いているので、前回徳さんが来てくれた時よりもシンプルな夕ご飯に。でも、徳さんはいつも外食ばかりだからととても喜んで食べてくれた。これからもあいりさんが作るご飯をたくさん食べたいですと両親に言った。
 デザートに父が東北地方の大学で特任教授をしていた時にお世話になった方がこの季節に毎年送ってくださるさくらんぼを食べて食休めをしてから、終電の関係でそろそろおいとましますという徳さんを母に言われて駅まで送って行った。

 徳さんに、あいりはいつも馬鹿みたいに明るかったから、どこが精神疾患持ちだ詐病じゃないのかそれとも躁病か?とか酷いことを言って悪かった。しんどい目に遭っていたんだな。申し訳なかった。よく夜遊びしてて不良主婦だとからかってたけど、家に帰りたくない・居たくなかった事情があったんだな。本当に申し訳ない。50を超えてこんなに人を好きになるとは思わなかった。あいりのことを昔酷く言っていたのは、小学生の男の子が好きな女の子をいじめるのと同じレベルなんだよな。情けない・・・・と大きな身体を縮めていた。
 私は徳さんのことが気の毒になったのと年上の男性にこのようなことを言うのは申し訳ないがかわいく感じて徳さんの手を取って、私の方こそ言い辛いことを言わせてごめんなさい。私も徳さんが変わり者過ぎて、お嬢様育ちの元奥さんが追い詰められて精神的におかしくなって離婚したとずっと思い込んでた。そう吹き込んできた人が居たのは事実だけど。ごめんなさい。これから、二人で楽しい思い出をたくさん作っていこうと言った。

 徳さんはにっこり笑ってくれた。

 改札口で徳さんにバイバイした。

 再来週に内科の定期受診があるので、その時の主治医の診立て次第で次に徳さんの家に泊まる日を決める。

 これ以上大きく体調を崩さないように気をつける。